第5回医療機器の流通改善に関する懇談会議事録  日  時:平成21年7月10日(金)15:58〜17:57  場  所:九段会館 真珠の間   (照会先) 医政局経済課 安東 03-5253-1111(2536) ○安東流通指導官  ただ今から第5回医療機器の流通改善に関する懇談会を開催いたします。  初めに、委員の交代と加入についてご報告いたします。  大塚委員が辞任され、日本医療法人協会から関 健様に委員に加わっていただいており ます。また、今回から日本薬剤師会常務理事の安部好弘様に委員に加わっていただきまし た。  両委員には、初めに一言ご挨拶をお願いします。  まず関様からお願いします。 ○関委員  ご紹介いただきました日本医療法人協会副会長の関でございます。  医療機器の流通に関しては一家言ございますけれども、皆さんのご議論をいろいろ伺い ながら、また追い追い意見を述べさせていただきたいと思っています。よろしくお願い申 し上げます。 ○安東流通指導官  続いて安部様、お願いします。 ○安部委員  日本薬剤師会の安部でございます。よろしくお願いいたします。  私、薬局出身でございまして、薬局のほうは大きな医療機器は余り使わないのでござい ますが、近年では在宅医療が進んでまいりまして、特定医療材料を小さな薬局で少量多品 目取り扱う、こういったことで流通や包装単位が在宅をうまく進めていく上で非常に大切 なポイントかと思っておりますので、その点よろしくお願いしたいと思います。  また、議事録を読ませていただきましたら、バーコードについて今年度お話しいただく ということでございます。流通のところのバーコード利用も大変重要なことかと思うんで すが、医療の安全に関わる部分でバーコードをうまく使えればいいなというふうに考えて おりますので、ぜひよろしくお願いいたします。 ○安東流通指導官  ありがとうございました。  次に、委員の出欠状況でございますが、本日は、日本医療機器販売業協会理事の梅澤悟 様、全国自治体病院協議会副会長の末永裕之様、日本歯科医師会理事の中谷譲二様、産業 医科大学教授の松田晋哉様、日本医療器材工業会副会長の吉田安幸様からご欠席の連絡を いただいております。ア原委員からは少々遅れる旨の連絡をいただいております。  さらに、本日は、それぞれの立場で医療機器のコード化を実践しておられる3名の方を お招きしておりますので、ご紹介いたします。  テルモ株式会社より、心臓血管カンパニーカテーテルグループプレジデントの星野正紀 様。星野様は吉田安幸委員の代理という立場でも出席なさっていらっしゃいます。  株式会社栗原医療器械店より、取締役部長の富岡一幸様。  そして、京都第二赤十字病院の消化器科副部長の田中聖人様でございます。  よろしくお願いいたします。  最後に、事務局に異動がございましたので紹介いたします。  7月より、経済課の首席流通指導官として参りました日下田敏彦でございます。 ○日下田首席流通指導官  日下田でございます。よろしくお願いいたします。 ○安東流通指導官  なお、医政局長につきましては、本日は所用により欠席させていただきますので、ご了 承ください。  続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。  議事次第、座席図、懇談会名簿と続きまして、資料1、コード・バーコード化の取組状 況 今後の活用策、資料2、医療機器等のコード化における先駆的取り組み〜医療機器卸 の実態と活用事例〜、資料3、病院におけるトレーサビリティーの現状 二次利用を意識 したデータ取得への取り組み、資料4として、パンフレットの「第7回画像医療システム 等の導入状況と安全確保状況に関する調査報告書(概要)」、資料5、保守・メンテナン スが必要な理由、回数の根拠、メリット等について、これらをお手元に配布しております ので、ご確認ください。  それでは、以降の議事進行につきましては嶋口座長にお願いしたいと思います。よろし くお願いいたします。 ○嶋口座長  大変お暑いところを本日はありがとうございました。  それでは、早速、本日の議題に入りたいと思います。よろしくお願いいたします。  前回の懇談会では、医療機器のコード化を平成21年度、つまり本年度の課題として、全 般的な問題について議論したわけでございますが、今回は国内の先駆的な取組を紹介する ということで、先ほどご紹介ございましたお三方のエキスパートからのお話を中心に議論 を進めていきたいと思います。    時間の都合上、毎回そうですが、今回も一通り各エキスパートからご説明いただいた上 で全体を通して議論をしていく、これが一番効率的かと思いますので、そのようにさせて いただきたいと思いますが、質問やご意見がございましたら、予めメモをとっておいてい ただきまして、お三方のご説明をいただいた後、全体でディスカッションしてみたいと思 っております。  それでは早速、最初にメーカーの取組について、資料1を中心にしまして星野様からご 説明をお願いしたいと思います。 ○星野氏  医器工を代表しまして、テルモ株式会社の星野でございます。資料1について説明させ ていただきたいと思います。  まず、1ページ目からご覧になっていただきたいと思います。コード化の普及・促進の ために弊社の事例を今回報告させていただきたいと思います。  コード化は、患者様に製品が使用されるまでの品質管理に重要なアイテムとして、私ど もは活用しております。  2ページでございます。この4つの項目について説明させていただきたいと思います。  次ページでございます。弊社のコード化、取組の状況でございますが、品質管理という ことは、経営効率化を高くするという役割を大きく果たしておりますので、今回は生産、 物流、商流の3つの課題について説明させていただきたいと思います。  まずは、生産における取組事例でございます。  こちらは、私どもの工場の生産について記したものでございます。コード、ITを導入 しました生産管理、品質管理の一例でございます。QCDと書かせていただいております けれども、品質、原価、商品提供、こちらの3つを大きなキーワードとして生産は取り組 んでおります。こちらの中で、作業員がITを使って作業している写真がご覧になれると 思いますけれども、こういったものは一人一人の作業員が思い込みをしてしまうであると か、ヒューマンエラーをする。また、慣れない作業員がエラーをする、またその人を早く 育成しないといけないということもありまして、こういった機械を使っております。この 中で使われておりますコードは、自社の独自コードを使っております。  次のページでございます。そういった活動を行っておりますけれども、生産マネジメン トの手法としてフールプルーフの手法を取り入れております。フールプルーフとは、書か せていただいたところを読ませていただきますけれども、誤った使用法への対処機能、作 業者に完全性を求めません。誤りの検出・訂正や使用法の制限等の機能を設備等に持たせ る手法でございます。設備でぽかよけをするということでございます。  こちらの写真のところですけれども、まず1、PCの画面のところに製造指図が出てま いります。それを見て製造を行いますけれども、生産されたものは、2のところになりま すけれども、はかりの上に乗せられまして重量を確認します。そうすると、付け過ぎてい る部材、付いていない部材等が判明することによって、その製品は万が一問題があればエ ラーが出るということになります。それを全ての検査が終わった後、3番のところになり ますけれども、表示ラベルが貼付されることになります。  次のページでございます。こういった活動をするということは、作業効率を向上させて いくということにもつながっております。こちらは生産の状況を、各品種ごとの状況を時 系列に追ったものでございます。適切なコストが実現できるようにする。効率化された生 産方法を取り入れていくということは、チェックミスを防止することに繋がると思います。 業務の平準化に効果的であり、かつ安定供給できることにも、導入することによりつなが っております。  次のページでございます。こういう管理をされて生産された製品は、こちらは工場にあ ります倉庫のラックの様子でございます。完成した製品はタイムリーにお届けするために ラックで管理をしております。生産から出荷までのトレーサビリティーは、病院の在庫管 理にも応用できるかなと思っております。  次は商流を紹介いたします。上段が従来、下段が導入後を示しております。  仕組みの見直し後の入荷工程を見ますと、黄色い部分が書いてありますけれども、そこ が人手による作業でした。その作業がかなり改善されてきたことがお分かりになると思い ます。入荷予定の情報、入庫報告のファクス、手入力等、20桁に及ぶバーコードの目視検 査がありましたけれども、その部分が大きく改善されていることがこの図で読み取れると 思います。  次のページで、物流倉庫での業務フロー、出荷のところをご覧いただきたいと思います。 出荷のところも同様に、Before、Afterで記載させていただいておりますけれ ども、出荷工程でも、黄色いところが人手でございます。人手による作業がかなり改善さ れていることがご覧になれると思います。特に梱包、計算において、従来は作業員の目視、 また手計算が主でしたけれども、現在では機械を導入することによりまして自動計算がで きるようになっております。  10ページ目でございますけれども、今まで説明させていただきましたことをまとめて示 させていただきたいと思います。  効率化は、正しい情報を担保することにより、生産から廃棄まで全てのプロセスにおい てミスを事前に防止する効果があると思います。弊社の中では、卸さんまでの出荷は、ロ ットを含めて全てトレースできるようにしております。病院、卸さんが同じ機能を持てれ ばトレース可能ですが、コード化というものはメーカーの利益を最優先しているのではな く、医療の安全管理・確保に有効な手段となります。  図のところの説明ですけれども、つくったものが出荷されるまでの各イベントを書いて おります。そこで在庫が入庫、出庫というステージであらわしておりますけれども、全て がロット追跡できるようなトレーサビリティーがとれるようにしております。  最後に、商流としてのEDIの使用率をお示しいたします。  医薬品、医療器とも、卸さんで見ますと使われている率が非常に高くなっておりますが、 専門店様は、規模が小規模ということかもしれませんが、使われる率がまだ少ないような 現状でございます。ただし、VANには事業別、医薬品、医療器、OTC等々によって様 々なタイプが使われているというのが現状だと思っております。  コード化で得られた効果を説明させていただきたいと思います。  まず13ページ目、物流面での改善効果を説明させていただきます。  管理、現場と書いてありますけれども、管理というのは、倉庫で事務所のようなところ というふうにご認識いただきたいと思います。現場というのは作業員ということです。こ ういった活動するまでは、例えば事務所でも手計算であるとか手入力、そういったものの 内容のチェックを主にしておりましたけれども、導入後、データが自動化されるというこ とで、能率が約60%改善されることになりました。それは現場でも同様なことでありまし て、能率が30%改善されることになっております。先ほども説明させていただいたとおり、 手作業であるとか目視での作業が非常に多うございましたが、今はデータであるとかハン ディターミナルのようなものを使うことによりまして、そういったところが改善されるこ とになっております。  次ページ、品質面での具体的効果で説明させていただきます。  作業工数を見てみますと、トータル的な時間観測は今実施しておりませんが、ハンディ ターミナル操作に限っては、ハンディターミナルの操作が増えた分、若干ではありますが 作業時間が増えております。しかしながら、後工程の出荷・検品の欄ですけれども、目視 検査、あと20桁のバーコードの検査がなくなったことに伴いまして、作業工数はかなり減 ったと思われます。物流品質におきましても、品違いやロット違いなど長い商品コードを 見間違えるということについては、ハンディターミナルを導入してからはなくなったと思 います。  しかしながら、数量間違えについては、作業者の操作の不慣れなどの理由によって若干 増えてしまっていることが現状でございます。早期に作業者の育成を図る研修及びハンデ ィターミナル活用によりだれでも平準的にできるようになり、出荷段階では皆無になりま したので、お届けする段階では問題ないようになっていると思います。  次のページで、商流での改善効果をお示しいたします。  直接的な効果として、事務作業が効率化された、サイクルが短縮されたということもご ざいますが、こういったことを続けることによりまして、最終的には安全管理に弊社の活 動が役立っていると思っております。  16ページ目、コード化による改善効果の拡大のページについて説明させていただきます。  コード化による効果を得るには、バーコードはデータベースとの連携が必須になると思 っております。弊社ではほぼ100%コード化し、EDIを推進しております。今後、この仕 組みが拡大するためには、EDIの使用率を100%に近づけることが必要であると思われま す。  次に、コード化を普及するための課題について説明します。  18ページ目でございます。メーカー、ディーラー、医療機関という形で図を書かせてい ただいております。おのおのの機関で独自のコードを使っております。共通コードにする ことが最適だとは思いますが、現状では、独自コード同士を連結させるには非常に難しい ハードルがあると思います。病院・メーカー・卸3者とも内部で使用する独自コード以外 に、外部環境として3者を連携させ、共通化できるシステムが必要だと思います。おのお のの負担だけではなく、トータルのメリットを出しながら、サプライチェーン全体を俯瞰 する必要があると思います。  ここで行政にお願いがございます。現状はコード変換システムがなかなか推進できてい ないところがございますので、作成の推進のご指導をいただきたい。また、一元化に向け た補助制度等の支援策についてご検討いただければ幸いでございます。  次の19ページ目、安全管理に役立つバーコード貼付でございます。注射器とアンジオ用 のガイドワイヤーの例を示させていただいております。  製品につきましては、全ての製品をトレースしておりますけれども、薬剤と医療器の区 別というものが必要かと思っております。個包装の形態、包装梱包数等の流通単位は、薬 剤とは違い、全ての製品に付与する必要はないのかなと思っております。なぜならば、経 済合理性と安全を相関してとらえますと、患者さんに薬剤のように直接影響を与える製品 は、メーカーのコストアップ、生産効率悪化にしても貼付は必須だと思われますが、シリ ンジ等のリスクレベルが低い製品は、かえって全ての製品に貼付することによって病院業 務の負荷につながると思っております。そのために、そういった製品に対する貼付は不要 かなと思われます。これから取り組む企業に対するアドバイスでございます。  21ページ目をご覧になっていただきたいと思います。医療機関、卸、メーカーという形 で書かせていただいております。これが製品の流れでございます。  期待される効果は業務負荷が非常に多く、間違いが発生する可能性が大きく改善される ところでございます。こういったところを改善することによって、受発注業務が効率化さ れ、精度が高くなると思います。業務の質の向上はコスト削減となり、収益向上につなが ると思います。  こちらは私どもの対応した結果で、現状は1,200時間の工数がかかっているところ、ここ を大きく削減することが今できているということでございます。  また、システム利用拡大に対する期待効果Aとしてお示しいたします。  ご存じのとおり、高度管理医療機器等は、メーカー、卸には納入された施設、ロット、 年月日等管理が必要とされておりますが、さらに生物由来製品等については、メーカー、 卸はもちろん、医療機関においてもロット、使用対象者、月日などの管理が必要だとされ ております。コード化することによってトレーサビリティーというものがさらに確実にな るものと思われます。  品質問題発生時の状況把握、また正確な把握・迅速化ということもさらにできますし、 有効期限管理にも活用ができると思います。また、3者の管理業務の軽減にもつながるも のと思われます。  23ページ目、システム利用拡大により更なる安全管理の担保をというページでございま す。  さらなる安全管理対策として、データの連携、つまりコード化、EDI化、バーコード 貼付が必要だと思います。将来的な目標として、入院の効率化、安全確保はシステム化す ることにより強化されると思われます。データベース化により患者様を中心としたトレー スが実現できます。流通の合理化を実行することが、病院・メーカー・卸3者全てが経営 効率化の拡大及び安全確保につながりますので、導入が必要だと思います。  MeBiTSというシステムができておりますけれども、メーカー、卸の間で生物由来 製品のロット管理をできるシステムでございますが、MD−Netの組織の中で構築した ものであり、今、運営が開始されております。今回、あるべき姿として私のほうから提案 させていただきましたのは、生物由来製品だけではなく、コード管理医療機器を含めたユ ーザーでの使用実績をトレースできるデータベースを目指したいと思っております。  最後にまとめとなります。  コード化・EDI化・バーコード貼付は、医療の安全管理・確保に寄与するものだと思 われます。  トータルサプライチェーンを実現することは、生産から診療、診療報酬までを含めた医 療全体を網羅し、業務効率向上をもたらすものだと思われます。  ご清聴ありがとうございました。 ○嶋口座長  星野さん、どうもありがとうございました。  議論は後でしたいと思いますが、基本的なところで、ちょっとここは意味が分からない とか、今のプレゼンテーションに対する純粋な質問、確認したいところがございましたら どうぞ。よろしゅうございますか。  1つだけ、13枚目でしょうか、先ほどBefore、Afterの中で改善がこのくら いあったという、物流面での改善効果ですが、60%、30%というのは能率改善と書いてあ るんですが、これはコストですか、それとも時間ですか。 ○星野氏  時間です。 ○嶋口座長  分かりました。時間改善がこれだけあったということですね。  それでは、また後でこれを含めていろいろディスカッションしたいと思います。今、星 野さんのプレゼンテーションにあった、こうしてもらいたいという要望あたりは、本懇談 会の方向にも少し一致しているところがあると思いますが、その辺りは後ほどディスカッ ションしたいと思います。  それでは、引き続きまして、資料2につきまして富岡様からご説明をいただきたいと思 います。よろしくお願いいたします。 ○富岡氏  栗原医療器械店の富岡でございます。  それでは、医療機器販売業を代表しまして、卸という観点で実態と活用という点につい て説明させていただきます。  今日お話しさせていただく内容は大きく3つございます。まず1つは、実際にどんなも のを扱っているのかという点と、それに伴ってどういうデータベース、いわゆる商品マス ターというものがなっているのかという点を説明させていただきます。次に卸という点で、 流通の中でどういうふうにコードを活用し、生かされているのかという点と今後という、 3点について説明させていただきます。  それでは早速、資料を開いていただきまして、まず当社の取り扱い範囲とその構成です が、左側に、100%としまして、一番上からX線機器及び画像診断システムというシステム に関わるものから始まりまして、生体あるいは処置用機器(ディスポ・カテーテルを含 む)、さらに鋼製器具、眼科製品とか衛生材料、家庭用医療機器、介護・福祉という非常 に多岐にわたるものを取り扱っております。卸の総合的な構成でいきますと、大体このぐ らいのものを扱っておりまして、それこそ在宅で使うものから病院の隅々で使うものまで をカバーしているというようにご覧いただけると思います。全体を100としますと、大体、 ディスポ、処置用機器の割合と、生体機能あるいは衛生材料というものが非常に多く占め ております。  一方で、その隣にマスタ件数というデータベースの件数をご参考までに入れていますが、 実は一致しないんですね。扱い量は医療機器が一番多いんですけれども、マスタも多いん ですけれども、実は少ない介護用品であるとかその他の日用雑貨に至るようなものは、マ スタ上は非常に多くなっております。これは当社が扱っているということは、当然、医療 機関様で使われているというふうにとらえていただいていいと思いますので、この辺は多 岐にわたっていて複雑化しているということで、当然、機械ものも、CTですとかMRI といった大型の機器も扱っておりますので、それから含めてこういうふうになっています。  これらの多くのものを扱っているものはどこに現れていますかといいますと、取引先と しましては、医療機器メーカー、800社、さらにその他と言われていますのは、日雑であり ますとかそういったものを含めて400社ということで、約1,200社の取引先と取引をさせて いただいております。非常に多いという印象でしょうか。我々としましては、このぐらい のカバーをしませんと、医療機関様で日々使われているものが取り扱われないというふう にご理解いただければと思います。  次に、当社の商品マスタ、今度は全体像の中から医療機器という割合はどの程度あるの かという点について説明します。  商品マスタですが、医療機器と言われるものにつきましては、全体で35万品目ございま す。そのうちの約57%、介護・福祉あるいはその他と言われているものは約43%になりま す。これは取り扱っている製品によって各社さん変わってくると思いますが、総合的にや りますと6割から4割ぐらいの割合というふうに言えるのではないでしょうか。  当然、医療機器につきましては、情報としましては、JANコードにプラスGS1、こ れはマスタ上に持っているわけではなくて、トレーサビリティーをするために、これらの 記憶する容量を持っているという意味です。さらに特定保険材料については保険情報を持 っていると、こういうふうに扱っています。  その下の図は、では構成は分かったが、日々どのくらい取り扱っているかといいますと、 ここに書いてありますように、これは平成21年4月の1カ月間のデータから見ていますが、 約8割は医療機器です。これは当然、専門商社さんはほぼ100に近い企業さんもあると思い ますが、福祉とかそういったことを扱いますと、2割ぐらいはこういう違うものを扱って いるということになります。  特に、月に平均6万件ぐらい、物流センターで一括管理をしております。そこに入って くる量を分析しますと大体8割と2割という構成です。このうちの8割については、ほぼ コード化が推進しておりますので、バーコードを活用して社内での管理をしている。ただ、 残念ながら2割は手作業ということで、この部分については非常に工数もかかりますし、 確認を目で人がやらなければいけないというのが実態であるということであります。  ページをめくっていただきまして、写真を載せてあります。実際にどんなものかという ことで参考までに。GS1がないということですので、医療機器以外というカテゴリーに なると思いますが、JANコードは付いているというのがあります。それは上の段ですけ れども、白衣ですとか手袋、シーツ、サポーターといったもので、これらの商品は、当社 が医療機関というよりは、ドラックストアですとか一般にも流通している商品と同じでご ざいますので、これらのものはJANがあるけれども、GS1には至っていないというこ とになります。ただ、これらも中を見ますと、包装に有効期限が入っていたりするものも ございますので、それらはきちんと目で見て管理するようにしています。  その下はバーコード表示がない商品ということで、いわゆる雑品のような扱いでしょう か。テープですとかマット、膿盆と、これらは当然、病院、医療機関の中では必要になっ てくることで、クリニックからいろんな施設で日々使うものですが、これらは残念ながら まだバーコードすら付いていないというような商品群になっています。ご参考までに、こ ういった商品があるということを示しました。  当社の実態から言えることというふうになっていますが、今の医療機器のコードという 点につきましては非常に進んできている。さらに、ほとんどのものについては付いている ということは言えるのではないでしょうか。現場で実際にやっていながら非常に大きく感 じます。  ただ、35万のマスタにつきましては、日々精度を上げていくという点で、網羅性をカバ ーする、カバー率を上げていくことと変更をリアルに更新していくということについては、 MEDIS−DCのデータベースを参考にしているんですけれども、残念ながらダブりが あったりとか、空白項目があったりするということで、完全にこれを信じるわけにいかな くて、各社さん、我々を含めてメーカーさんと協力しながら、実際につくっているという のが実態ではないでしょうか。  先ほど、バーコードがない商品はどうしているかといいますと、内部的に自社コードを 在庫にするときに張り付けたりして、当然、中間の管理をするということをせざるを得な いので、この辺も今後課題であろうというふうに思っております。ただ、必要であるとい うふうにも思っておりますので、継続的にやっていく必要があると思います。  それでは次に、では実際にどんなふうに管理しているのかというのが右の下の図になり ます。当社は4年前に集中の物流管理センターをつくりまして、広さは2,900坪ぐらいのも のを建てまして、ここで完全に一括コントロールできるようにいたしました。これは先ほ どありました薬事法の改正等も含めて対応したんですが、このときに行ったことは、入荷 から最終的な出庫までのトータルのそれぞれのプロセスを全てバーコード、いわゆる人の 手からPDA、携帯端末を使った完全な管理に移行いたしました。このことは、一部入荷 のところの処理は、先ほどテルモさんがおっしゃいましたように、全てバーコードを読ん だりする関係があって、いったん増えているように見えますが、その後の工程を管理する、 あるいはトレーサビリティーという点で、確実にデータがとれているというのが実態であ ります。  それぞれ中について説明していきます。次のページです。それぞれ工程として、プロセ ス別に見ていきますと、入荷処理における活用です。  左の絵にありますように、入ってきた商品を全てバーコード、GS1の付いているもの、 JANも、読めるものは徹底的に読むようにしています。GS1で読めたものは、その時 点で中にデータ化して、ロット情報と有効期限を見ています。ここでは、ほとんどないん ですけれども、メーカーさんからの出荷段階で有効期限の若返りというんでしょうか、古 いものが来ているとか、そういうチェックもここでできるようになります。個体をチェッ クすることは非常に重要だろうと思います。  右の図は、そう言いながら、実は入荷時点でバーコードが利用できないというケースを 説明しています。先ほど、全体の8割が医療機器というふうにお話をさせていただきまし たので、入荷に対して80%ができているはずですが、その8割に対して本当にそうかとい いますと、残念ながらさらにその2割は、バーコードは付いているんですけれども活用で きていないという絵であります。真ん中のところがそうなります。  活用できない理由というのは何点かありますが、まずバーコードがない、これは残念な がらまだあります。それと読み取れない。2つ目は、バーコードがあっても、先ほど言っ たようにデータベースのほうが追いついていかなくて、どうも明らかに違う商品になって いる、JANコードが重なっているとか、あるいは抜けていると、こういったものが残念 ながらあります。3つ目は、同じ商品を複数の流通経路から仕入れているというんでしょ うか、入荷している場合には、個体は特定できても、トレーサビリティーという観点から すると、どこから来たのか確認しなければいけないので、出荷元のデータを確認するとい う意味で、伝票ですとか人の手によって分析をしています。これらが残念ながらまだ医療 機器の中でも2割ぐらいは起きているということです。  これは何をしているかといいますと、みんな人の手でロットと有効期限を起こして、デ ータ化しているものですから、非常に時間もコストもかかるというふうにお考えいただけ ればと思います。  では、そういった入荷した商品を在庫ではどう見ているかといいますと、その下になり ます。これはロットを管理しておりますので、全てロット別にロケーション、在庫、格納 から分けております。以前ですと、先入れ、先出しとよく言われるものを人の手によって やらなければいけなかったんですけれども、当然、ロット別に分けておくことで、有効期 限の短いもの、早く入荷したものから先に出す指示をコンピューターがしますので、人手 ではなく完全にシステム化ができたというふうに思っています。  この時点では、右にありますが、ほぼ100%。といいますのは、バーコードが付いていな い商品は自社コードのラベルを付けて管理しておりますので100ということであります。  在庫管理が終わりますと、当然、出庫ということになりますが、先ほどありましたよう に、左のPDAではロット別の出庫指示ということで、完全にこの時点で見ています。そ の指示に従って作業者が商品を出して、その商品のコードを読むことで一致しているのか どうかという点を確認しております。これは知らない人でもできるということにはなって います。  ここでしていますのは大きく2つあります。1つは、ロットがきちんと出ているかとい う点、さらには有効期限チェック。この仕組みを取り入れたときに行ったのは、医療機関 に出した前回の商品の記録がありますので、その商品よりも有効期限が短くなっていない かとか、当然受け取った側も信じていると思うんですね。新しく来た商品の有効期限が短 いのはないと、そういうことも自動的にチェックできるようになっております。これは社 内としても安全性という点では確保できていると思います。  ただ、先ほども言いましたGS1が付いていると、一度にロットと有効期限をチェック できるんですけれども、JANだけですと、その商品を個体の中から探しながらチェック をかけているというのが実態でして、この辺は現在負担となっているという表現をさせて いただいていますが、必要なので継続していこうと思っています。改善したいと思ってい ます。  右の下の預託材料ということで、これは今ですと、カテーテルですとかインプラントの 製品群が多く、病院、医療機関に対して預託をしています。これは当然、当社の資産であ ったり、あるいはサプライヤーである元のメーカーの資産であったりする、これらの製品 の、有効期限を含めてチェックするためにこれを活用していくということです。  次のページを開いていただいて、今までは物流という観点でしますが、実は、先ほどあ りましたEDI、コード化の効率化としてEDI化が挙げられるという点ですが、今どの 程度当社がやっているかという事例を出しました。これはMD−Netサービスを活用し たVANということになりますが、左の丸を見ていただきますと、接続先件数といいます と、残念ながら1,200社のうち26社しかまだございません。わずか2%と。医療機器メーカ ー800社だけを見ても3%ぐらいしかないのが実態です。  ところが、件数ではなくてカバー率はどのくらいなのかというと、まだまだ42%ほどし かいっていないのが現状です。ただ、2%で42%カバーするというのは、当然、取引量の 大きいところですとか、そういったところとやっていますので、こうなります。  先ほどテルモさんもお話がありましたように、EDIは非常に効果的になっております。 ただ、まだまだ4割という点しかカバーしていませんので、この辺のカバー率をどう上げ ていくかということは、我々だけではなくてメーカーさんを含めて取り組んでいければな と思います。  最後にまとめというふうにしてありますが、医療機器のコードのカバー率ですね、GS 1の添付をしているという点が非常に進んできたということは、当社にとっても安全性と いうか、社内の管理体制もその分、上がってくるということが言えると思います。今後は、 まだまだ貼れていない商品群をどうとらえて管理していくかということが課題であろうと 思います。  2つ目のEDIにつきましては、まだ2%ほどしかないという、あるいはその40%しか カバーしていないということは、我々卸だけではなくて、製造、向こう側の問題もござい ますので、それらも含めてしっかり対応していく必要があるだろうと思っています。  今後ですが、この部分は、特にトータルの物流に関するコストという点を当社ははじき 出していまして、それらがどう変化していくのかという点をしっかり見ていくということ は、効率化になるのではないかというふうに思います。  最後に、今後の取組ということになりますが、1つ事例として、医療機関との取組とい うことを挙げさせていただきました。これは今までのように、卸とメーカーの間で、VA Nの接続ではなく、病院さんとしましても、医療機関と結ぶときに、やっぱりVANとい うのは難しいと。これは薬との関係のインフラが進んでいないという点も挙げられると思 います。そうなので、我々としましては、より現場の運用に近いところで、実際の商品に 近いものを取れるように、ASPのサービスで医療機関に消費とか商品検索とか、そうい った機能を提供しております。  これは、医療機関の例えば新しい商品の問い合わせですとか、そういったものが非常に 多くあるときに、商品がよく分からないというお問い合わせもいただいたりするので、そ れらを探しやすくサービスですとか、我々が実際に供給、流通という観点からも、全体の 効率化につながらないかということでトライアルをしている内容です。絵でかくとこんな ふうになっているんですけれども、実際には商品に付いているバーコードだけではなくて、 そのどの部署にどう使われたのかというものも含めていくんですね。例えば、これはホー ムセンターのどこそこの部門用にお届けする商品ですとか、そういうふうに単純に1つの 店舗ではなく、その中のどこで使われているのかという部署までを付けて出そうというふ うに思っております。これは、消費の単位ですとか、実際に病院さんと運用の話をしたと きに、必ず言われることで、少しトライアルという観点で使っています。  このとき感じましたのは、GS1、JANコードと商品を特定するという意味でいけば、 GS1とJANは有効ですけれども、さらにちょっと付加情報を付けて、病院の中の流通 というものを考えていくということが必要なんじゃないかと思っております。  最後です。卸の位置づけと役割ということですが、当然、メーカー各社はご自分で提供 している製品群のマスタしかございませんし、病院、医療機関のほうは自分で使うところ、 それ以外持つ必要はありませんので、我々中間に入る卸というところが、その変換という んでしょうか、それを担うと。結果としては35万の商品を持っておりますが、それととも に、医療機関に対するインターフェースということをしっかりと今後考えていく必要があ るんじゃないかと思っております。それとして、先ほどの取組事例として1つ挙げさせて いただきました。  今後の取り組みということを最後に挙げさせていただきましたが、医療機器という点で 見ますと、コードの取得から商品への添付は進んできている。先ほど、社内の活用も徹底 しておりますので、トレーサビリティーという点で、例えば自主回収があったとき。その 商品をはじけば、どこにどのロットがあるんだという状態がウオッチできますので、非常 にいいと思っております。特に、お客さんに対しても、いつの日にどの商品のロットを出 したかというのは分かりますので、当然やりやすくなっているというのがはっきり分かる と思います。  一方で、我々卸が今まで供給元であるメーカーとの関係性は非常に推進してきたんです けれども、お客様である医療機関に対する目を向けていなかったと言うと語弊があるかも しれませんが、その辺の全体のネットワークですとか、それは単純に環境を用意すればい いということではなくて、医療機関の中でどういう内部の効率化にそれがつながっていく のかとか、あるいは情報化に貢献できるのかという点がないと、単純に方法を提供しても うまくいかないというふうに思っております。  卸という点でいきますと、中間に位置しておりますので、当然たくさんのことを扱って いる。あるいはより医療機関の現場に近いもの、あるいは運用であるとか製品の特徴とい ったものをとらまえながら、これらの安全性の確保あるいは記録という点をしっかりやっ ていくべきだろうというふうに思っております。  簡単ですが、以上で終わります。 ○嶋口座長  富岡様、どうもありがとうございました。  それでは、また後でまとめて議論するとしまして、続きまして医療機関の取り組みにつ いて、田中様のほうから資料3に基づいてご説明いただきたいと思います。田中様、よろ しくお願いいたします。 ○田中氏  京都第二赤十字病院の田中と申します。何分、こういうきれいにこういうラー印刷して いただいてお配りいただくという想定がなかったものですから、動画もいろいろつくって まいりましたので、目を行き来させていただくことになりますけれども、まず最初にそれ をご容赦いただきたいと思います。  病院におけるトレーサビリティーの現状ということで、まず資料をご覧になりながらで 結構なんですが、今日は、統一コーディングによって得られる効果、それからコード化が なぜ進まないのか、普及するための課題、普及のための方策ということで考えてまいりま した。  最初の資料をご覧いただきながらで結構ですが、まず統一コーディングによって得られ る効果ということで、医療材料の話が出ておりましたけれども、医療機関におきましては、 病名の統一というのがまず取り組まなければいけない問題としてございまして、MEDI Sというところの非常に優秀なデータベースを使いまして、病名の統合をしたということ が絵に示してございます。  また、次の資料のカラフルな絵がかいてあるところをご覧いただくと、当院の電子カル テシステムといいますのは、今、サブシステムが16個ぐらいつなげております。そうなり ますと、連携費用というものがばかになりませんので、患者属性などもマザーサーバーと いうところにためて連携しているということでございます。  では、ちょっと前をご覧いただきたいんですが、実際問題としてどういうことをやって いるかというのをお示ししていきたいと思います。  まず滅菌器材ということでありますけれども、これは今いろんな会社が取組をされてお りますが、もともと鋼製小物というものにはリソースマーキングというのがございません。 それに対して病院がどういうことをやっているかというのを説明してまいりたいと思いま す。  これが当院の手術室の予約システムでございまして、まず術式というのをKコード、I CD、ICMコードに準じて検索をいたしますと術式が出てまいります。これを選びます とその術式で使用される鋼製小物のセットというのが表示されるようになっております。 このデータが中央滅菌室に運ばれまして、このような形で、今、紙がぺろんと出てまいり ましたが、これが準備品リストというものです。医者のオーダーがそのまま器材取り揃え リストというふうに形を変えて中央滅菌センターに送られる形になります。ここにはセッ ト物及び小物、小品のバーコードが全部付いておりまして、次に看護師のほうで、看護師、 最近は委託業者もいますけれども、手術器材の取り揃えの業務をやってくれます。セット にも小品にもバーコードが貼ってありますので、とにかく表示に従って読んでいって、確 認しながら準備をするという形になります。  これが今、小品を読んでいるところでございます。  実際の手術にいきますと、こうやって配盆をいたします。コンテナがありまして、ここ にもこういったバーコードが置いてあります。これは院内のコードでございまして、最初 にあります6桁のコードがYYMMDDで滅菌した日、それからその後ろに器材の番号、 その後ろに滅菌回数というものが付いておりまして、それらを使用した後に、バーコード を一枚一枚めくって、画面右側の患者使用器材シートというところに貼ってまいります。  それが中央滅菌センターに返ってきますと、このように器材回収業務というのを行いま して、器材受け取り用のバーコードというのを使って、まずはだれがやったかというのを とらないといけませんので、担当者の名前に貼ってありますバーコードを読み取りまして、 返ってきた器材のバーコードを一生懸命読み込むと。こうすることによりまして、最初の ドクターのオーダー並びに手術の関連と相まって、どの医者がオーダーした、どの患者さ んに対するいつの何時からのどの部屋でのどの術式のオペで、どんな器材が使われたとい うのが全てトレースされると、そういう仕組みになっております。  これは、リコールと言いまして、滅菌がうまくいかなかった場合の事例を示しておりま す。2005年3月31日に、簡単に言いますと、滅菌がうまくいかなかったということが生じ ました。その段階で、いつどのマシンで滅菌したかというデータが全部残っておりますの で、まずかったものがどこにあるかというのを全て管理しております。それを再回収して 再滅菌したということで、パンデミックなどに対する対応ができたということで、このシ ステムが稼働して5年たちまして、今までリコール騒ぎというのが5件ありましたけれど も、全て安全に回収できております。  鋼製小物は、いろいろ議論があります。二次元がどうこうとかがございますけれども、 とにかく我々としては、キャリアとしては何でもいいと。ただ、もともとに付いていると、 先ほど来のお話ではありませんが、医療機関としては運用しやすいですので、それを求め てまいりたいというふうに思います。  まず、手術器材という医療安全上非常に危険度の高いものに関しては、レベルの高いト レースが必要ですから、コーディングがなされることの意義は非常に大きいというふうに 考えております。  次に、先ほど来話に出ておりますリソースコーディングです。医療材料に関しては、い ろいろお話がございましたが、JANに関してはかなりのものに付いているという現状が ございます。これが当院の検品風景ですが、よくご覧いただくと、バーコードをぱっぱっ と、左、右というふうに読んでいるのがご覧いただけるとかと思います。これは何をして いるかといいますと、左を読むときにGS1のコードを読んで、右を読むときに当院の個 別のコードを読むと。こういうピンクのバーコードを読むようにしております。先ほど富 岡様から、JANがあるけれどもGS1がないものとして、絆創膏、それからガーゼなど のご紹介がございましたけれども、当院では、JANコードにプラスして、これにありま すような白いコードですね、ディーラーさんと連携をいたしまして、ロット番号と賞味期 限というのをちゃんとこちらで引き取りまして、院内で、ピンクの下側のバーコード、こ れはGS1コードにして振り出します。振り出した上で、ピンクのバーコード、これは院 内のシリアルコードですけれども、その2つを読み込んでひもづけるということで対処し ております。  こうすることで、包装単位の問題はございますけれども、先ほどテルモの星野さんから お話もありましたように、高いもの、それから患者安全にとって非常に危険な製剤に関し ては、GS1で確実にとってまいります。ただし、こういった危険度の低いもの、安価な ものに関しては、箱単位でとっていくという形でやっております。  特定医療材料に関しては、この図にございますように、患者個人個人で、これは病棟用 のPDAですけれども、それで読んで、患者個人個人の単位で管理を行っております。  ただし、物流システムというのは、払い出し単位のデータしか出てまいりませんので、 これはうちの物流システムから出した生データですけれども、オペ室で何がどれだけ使わ れたかというデータは出てくるんですが、例えばこの中で心臓血管外科が幾ら使ったかと いうデータはなかなか出てまいりません。それに対する対応をしないといけないわけです。  ここにありますように、物流システムなしでは現状何もできないと思っていますが、残 念ながら物流システムだけでは何もできないという現状がございます。  そこで、マスタというものをどう整備するかというのが大切になってまいります。表に 挙げましたのは、前回のこの懇談会の資料としていただいたものを抜粋したものです。M EDISに関しては、5割から6割程度のコーディングしかなされていないという残念な 現状がございますので、我々は、マスタに関しては、メディエさんのものを使わせていた だいています。これはMEDIS−DCが担わなければならないファンクションというの と、それとメディエさんのような私企業が担うファンクションというのは当然違うと思い ます。ただ、我々にとっては、MEDIS−DCが1階層の分類しか持っていないのに対 して、3階層分類を持っているメディエのコードというのは非常に便利なものですから、 我々はマスタ作成にこれを使っております。  こういうのを使いますと、分類を引っ張っていくことによって、どの医療材料がどこの 診療科に使われるかというデータが出てまいります。これもうちの生データです。オペ室 で使った材料で、それぞれの診療科が幾ら使ったかというのが出てくるという形になって まいります。ここまで努力をいたしますと、いわゆる経営改善データというのがとれるわ けです。  しかしながら、それでは足りないデータというのもございます。もう少し細かくデータ をとりたいという場合には、これはオペ室の風景ですけれども、当院では、オペで使った 薬剤、それから医療材料、全てにおいてGS1のバーコードを読ませております。そのデ ータを薬剤部へ送って、薬剤部が必要なものだけ搬送して補充するという形を使っており ます。  こうすることで、物流のデータに併せてオペ室のデータというのも、いろんな細かいこ とがとれるんですが、このようにしてオペ中に看護師さんに、いっぱい読んでね、ちゃん とデータを入れてねと言うだけでは、なかなかあの子たちは動いてくれないので、どうす るかといいますと、周術期看護記録というのをつくってあげたりですとか、これはシェー マですね、どこに傷があってどこにドレンか入っているかというような形を彼女たちが一 緒に入力してもらうことによって、病棟の看護師にもメリットが出る。そういう形にする と運用がうまくいきます。  そうすると、これは各部屋ごとの稼働状態というのが先ほどのシステムから出てまいり ます。さらに、ここに物流データと組みますと、これは一番左側にありますCABGとか ESSGというのは術式でございますが、それぞれの術式における収入と支出というのが 出て経営改善のデータが出てくる。物流システムだけでは無理なんですが、そこにいろん なことを加えることによっておもしろいデータが出てくるという実例でございます。  ただし、残念ながら保険償還材料というのは、我々が使っております、これは生データ なので、余り言うと院長に怒られるんですが、当院で昨年実績で診療材料費、これは医薬 品を除いております。医療材料だけで23億円使っております。その中で保険償還材料が大 体16億円、ただし保険償還外の材料が7億4,000万円ございます。病院というところにおき まして7億4,000万円、これは大きいわけですね。  先ほど言いましたように、オペで使う大事な材料はGS1で患者ごとに読んでいきます から、データがとれるんですが、例えばドレープ、ガーゼ、糸、針、こういったものはと れません。そういうのをとる方策として、キット化というのを進めていくことになります。  キット化というのはどういうものかといいますと、このように手術術式において、ドレ ープ、糸、針、それからテープ等々を1つにしたセットでございます。価格ベースで言い ますと、1つ3,000円から8,000円ぐらいもので、そう高いものではないわけですが、こう いうものができることで、看護師さんがピッキングしないで済むという業務改善にもつな がりますし、さらに保険償還外材料の消費動向を得ることもできます。さらに、これにも ピンクのバーコードと、当院からGS1のバーコードを新たに振り出しておりますので、 院内物流のシステムを通じて運用が可能だというふうになってまいります。  キット化の優先度とかは、こちらの資料に書いていますので、お暇なときにお読みいた だいたら結構なんですが、やらねばならんことは、物の値段と附帯サービスをきっちりと 区別できるパートナーと組む、これをやらないと、院外SPDとか立ち会い規制なども同 様です。やはりそこをごっちゃにしてしまうと、医療機関にとって損が出てくるというこ とになりますので、それだけを注意してやっていけばうまくいくのではないかというふう に思います。  こちらは、とはいえ院内ではなかなか難しくて、我々が幾ら言っても看護師が動かない とか、僕たちが幾ら言っても事務部が動かないとか、そういうことがございます。そこで、 院内で1つのプロジェクトチームを立ち上げて経営改善をしましたという事例でございま す。  ここは、もうはしょってまいりますけれども、今回の話題とは余り関係ないと思います ので、資料をご覧いただければと存じます。  次は薬品です。先ほど薬剤師会の方からもお話がありましたけれども、医療材料はリソ ースコーディングというのをどうやって有効利用するかという問題で、かなりの成果を上 げていると私は思っております。ところが残念ながら薬剤はそうはまいりませんという話 です。  薬剤に関しては、リソースコーディングというものを利用した運用を考える必要がござ います。これが当院の電子カルテ及び注射認証の動画でございます。まず、こうやって医 師がオーダーいたしますが、よそ様のシステムと大きく違いますのは、どこの点滴、例え ば3本ぐらい点滴が入っている患者というのはおりますので、どの点滴から何時に何時間 でどの薬剤を落とすという全てのロットをとるようにしてオーダーしてまいります。  こういったオーダーが出ますと、これがコンピューターに反映されまして、これはうち の病棟の師長でございますが、医者が出したオーダーを、これでいいわよと看護師さんが コンファームしてくれることによって、初めて次の業務へまいります。なぜ看護師がここ で見るかといいますと、医者が素っ頓狂な指示を出したときに看護師が警鐘を鳴らすため です。第1監査というふうに私は考えております。  看護師がオーケーを出した後、次にどこへ行くかといいますと、アンプルピッカーとい う機械に行きまして、今、処方せんがおりてまいりましたが、これがトレーがどんどん旅 をして、決められた薬剤がぽんぽん台に乗ってきます。最後にトレーに乗ってきた薬剤を、 これはうちの薬剤師でございますが、処方せんの内容と目視で確認いたしまして、印鑑を 打つという、薬剤師による処方監査というのをやります。  もう一度申し上げますが、看護師が第1監査、第2監査としてアンプルピッカーという 機械、第3監査として薬剤師が入っておりますので、この段階でかなり医療安全には貢献 している状態になります。  こういう形で薬剤と一緒に処方せんが病棟に上がってまいりますと、今度は看護師が、 だれが混ぜ物、混注をしたかという名前をとりまして、処方せんのデータ並びにバーコー ドのデータを読み込みながら、薬液を混ぜるという行為に入ります。  ここで貼られたバーコードには、後ほど申し上げますが、何時にやるのか、どの薬なの か、だれに行くのかというようなバーコードが入っておりますので、残念ながらアンプル に付いているバーコードは全く使い物にならないという状況になっております。  そうした後に病棟へ行きまして、終わったボトルのバーコードを読み込んで、患者さん のリストバンドを読み込んで業務をするという、そういう形の流れになっております。こ うすることによってどういったデータがとれるかといいますと、指示、伝票発行並びに調 剤、処方監査、混注実施、これらが全て時間がとれることになります。  ここでおもしろいのは、混注した後というのは、もう混ぜ物が終わっていますので、ほ かの患者さんには使えませんから破棄するしかございません。ところが、混注前のものは ばらばらの薬剤に戻すことができますので、もう一度薬剤へ戻せば再利用できるという形 で、エコなわけでございますね。  これが当院の入院、注射に関する基礎データです。33万件ぐらい注射の実績があります が、その中でPDAを使って認証しているのが99.3%ですから、ほぼ認証ができておりま す。ただし、医者というのは気まぐれなもので、変更・中止が大体54%かかります。一番 下段を見ていただきたいんですが、いったん出したものをやめちゃうということが13%も ございます。これは昨年実績です。都合4年の実績を見てみても、中止・変更率というの が余り変わらないのがこのデータで分かります。  中止をすると、それが看護師に100%伝わらないと危険だということになるわけで、これ がワーニングということになりますけれども、私たちが中止をしました、看護師たちに電 話するのを忘れました、看護師が病棟へ行って、PDAでピッとやったときにアラートが ブーっと鳴ることによって、なんだ、先生、指示を変えたんだと分かるのが3%にも及び ます。33万件の3%ですから、かなりな数になる。大体12,000件ぐらいの変更がかかると いう、それが病院の現状でございます。  それを何とかするためにいろんな方策を立てているわけですが、インフラを整備して、 約2秒で変更内容が全て伝わるように当院では考えておりまして、医療安全に寄与してお ります。  結果どうなのかといいますと、アクシデントレポート数、これをお見せしました。後で 議論すればいいんですが、私はアクシデントレポートというのは余り信用していないんで すが、データを見ますと、2004年から稼働しているんですが、アクシデントレポートは100 件単位から、5件から3件ぐらいに落ちついております。システムを入れた効果がこれで もお分かりいただけると思います。  さらに、お金の問題ですけれども、先ほどの再利用と破棄の分岐点というのがございま すので、年間1,200万円ぐらいの損があったのが、システムを入れたこと、それからこれは 薬剤部の努力がかなり大きいんですが、150万円ぐらいに減りました。ただ、現在、内服だ けの損失で650万円ございまして、注射だけでやっていればいいというわけではないという のがデータからも見てとれます。  さらな、ボトルワーニングと言いまして、先ほど、PDAがピッと文句を言う検知率と いうのも出すことができまして、どんな場面で出たかというのはこういうふうにエクセル で出せます。そうすることによって、こういう場面で気をつけようねということを分析し て、看護師さんに返してあげることによって、病棟でこのようにワーニング率が全て右下 がりで下がっているというような貢献もございます。  すなわち、医療医療安全というのは、ツールを入れたらそれでいいというわけではなく て、やはり分析をして返してあげて、それを現場が理解してくれないと、さらに下がると いう効果は出てまいりません。当院では占床率も上がってまいりまして、平均在院日数も いろんな施策のおかげで下がってまいりまして、我々は忙しくてしょうがないんですが、 その中でも注射実施率というのが非常に上がっているのに、エラー率というのは下がって いるように、人間の努力というのは限界に近づきつつありまして、やはり何らかの形で安 全を担保しないといけないというふうに考えております。  ただ、先ほど来お話ししているものは全て電子カルテのもので、我々の指示が前もって あって、それに対して認証するという行為で流れてまいります。ところが、残念ながら救 命救急とか手術室というのはそんな暇がございません。医者が指示を出して、それから薬 局へ取りに行って、看護師さんが物を混ぜていくようでは、患者さんは死んでしまいます ので、こういうことにも対応しなければいかんわけです。  これが、右側が特異性、緊急性をあらわしました。上が医療行為の相対危険度というの をあらわしたところ、赤の部分が通常の病棟運用だとお考えください。しかし、我々にと って一番危険なのは黄色の部分です。事前のオーダーができない。患者さんが来たらすぐ に対応しなきゃいけない、すぐに実施しなきゃいけない。そういうものが危険度が高いと いうことになります。  そこに対してどういう施策を打つかという事例をご紹介申し上げます。これは外来の中 央点滴室並びに化学療法室という、抗がん剤を使ったりするエリアの動画でございます。 医者の指示に応じまして、まずは看護師のIDを読んで、患者さんのIDをIDカードリ ーダーで読んで、ドクターの指示に従ってアンプルピッカーという機械からピッキングを してまいります。そうしますと、看護師はとりあえず、ボトルはバーコードを読まなきゃ いけないですけれども、アンプルをとるだけでデータというのが残って、薬剤部にデータ がいくというような形になっております。それをICUでも利用しておりまして、これは ICUの動画ですけれども、シンゲの患者専用に、先ほどのものの小さなアンプルピッカ ーというのを置いてございます。緊急のとき、患者さんを助けなきゃいけないときに、一 々伝票を切っていられないですから、とにかく患者さんごとにこういう機械を置いて、何 かが起こればそこから看護師がとりあえずとって、先に行く。そうすると、記載とか二重 記載とか、後で記載するということがなくデータがとれる、並びに請求もできるという形 で、緊急の対応に関してはこういう施策というのを打ちながら、全てをカバーする努力と いうのをしております。  先ほど来話がありましたが、GS1かJANかという話がありました。薬剤はもっとレ ベルが高いと言われておりまして、薬剤に関してはGS1バーコードがいっぱい付いてい るわけですけれども、さらにSGTINと言いまして、シリアル番号までとらなければい けないんじゃないか、だからRFIDが必要なんだというような議論がございます。  ところが、一般の薬剤といいますのは、こういうバイアル調整設備であったりとか、タ ンク、つまり1アンプルというものは10リットルぐらいのタンクで1ロットつくられるわ けです。それをアンプルごとのシリアルをとったところで、医療事故に対応できるわけで はございませんので、私は薬剤に関してもGS1で十分だと思っております。  一気通貫とかいろんなことが言われていますけれども、シリアル単位での一気通貫しな きゃいけないという議論がございますが、それは医療機関にとっては全く必要のないこと だと思っております。薬剤に関してもGS1で十分ではないか。つまりRFIDも要らな いんじゃないかというのが私の現段階での考えでございます。  もう一つです。先ほど来、製造過程から流通に乗って医療機関に入るまで、ここまでは できました。では院内はどうするかという話がございますが、これはうちの電子カルテの そのままの画面です。1人の患者様にこのようにハイカリックというものがあって、その 下におかずが10種類入る、こういうことは普通にございます。これが実際の伝票でござい ますけれども、ここにありますように、変更したサイン、投与方法、それから時間、流量、 投与法のコメント、そういったものが全てデータにならないと医療安全にはつながりませ ん。すなわち、アンプルに入っている薬剤のロットであったり有効期限、有効期限は大事 ですけれども、それプラス流量ですとか、だれに行くか、どうやって行くのかというコー ドが必要ですし、混ぜ物をするということは違った液体になるということですから、元の 商品のバーコードだけ引っ張っていってもしょうがないと思っておりますので、混注した 後というのは、私は院内コードで行くべきではないかというふうに思っております。  まとめますと、ここにありますように、混注まではロットをとってGS1でいく。ただ、 院内に関しては、別のスキームをつくらないと、なかなかトレーサビリティーには役に立 たないのではないかというのが私の意見でございます。  さて、ほかの領域をちょっとお話ししますけれども、これは内視鏡室です。当院の内視 鏡には全てRFID、ICタグを付けております。これには製品番号とシリアル番号が載 っています。これは洗浄機で洗っているところですけれども、洗浄機の番号とスコープに 付いているICタグをRFID対応のPDAで読むことによって、洗浄の履歴管理ができ ます。これだけでは人間が動かないので、先ほどのお話と一緒です。こういうのをどの洗 浄機で、あと何分でどの機械が上がってくるかというのを見せてあげることによって、次 にどんな患者さん呼び入れようかというようなことにも使えますので、こういった二次利 用を積極的に現場にも返してあげる。  さらに、これは修理履歴です。どのスコープで、どのロット番号のどのシリアルのもの がどれだけ壊れたかというものを引き当てると、先ほどの洗浄のデータから合わせると、 このスコープは使い過ぎたから修理がかかっているのか、それとも製品ロットの問題なの かということが追えますので、そういった経営改善にも使えるということでございます。  さらに、ME機器管理には、医機連さんの努力によりまして、最近はシリンジポンプな りリソースマーキングができるようになりました。それを使って今取り組んでおりますの が、これは縦軸が病棟です。全ての病棟でウェブ画面で見える画面になっておりますけれ ども、シリンジポンプがどこに何台余っていて、何が工事中かというのを示すものになっ ています。今まで看護師は、緊急の患者が出たときに、シリンジポンプがそこの当該病棟 にない場合には、いろんな病棟に電話をしまくって、空いている病棟を探して、さらにそ こへ走っていくというようなことをやっておりました。  最近、病院によっては、ME機器の中央管理ということをやられております。それは非 常に結構なことなんですが、例えば広い院内のどこか1つに物が置かれていた場合に、そ こに看護師が夜中も走っていかなきゃいけない。だったら、このように自分の病棟の一番 近いところはどこで、どこに余っているんだということを分かるようにしてあげると、移 動距離が少なくて済みます。移動距離が少なくて済むのは、看護師が楽だというわけでは なくて、その分だけ患者の安全性が高まるということですから、つまり現場に対して何ら かのプライオリティーというのは上げないと、システムというのはなかなか動かないとい う考えでやっております。  統一コーディングによって得られた効果ですけれども、鋼製小物に関しては、パンデミ ック、滅菌工程の問題が生じた際に確実にトレースできます。そういう意味でプラスにな っております。  薬品、医療材料に関しては、現状で運用さえしっかりすれば問題ないレベルまで、メー カーさんの努力、それからディーラーさんの努力、それからいわゆる公の機関の努力によ って非常によくなっているというふうに思っております。  さらに、機器に関しては非常に将来性があるのではないか。私としては、今の状況で非 常に物事が進んでいるというふうに思います。ただし、システムが本来持っている一次効 果に満足して、それだけで終わってしまうと、なかなか現場が使ってくれないという問題 が生じますので、やはり現場が喜ぶような何かを付加価値として出していかないといけな いのではないか。  それから、データをできるだけ現場に反映させるという努力をしますと、さらに現場は 頑張って使ってくれるという傾向がございますので、そこも大切な点ではないかというふ うに思います。  では何で進まないのかという命題を与えられたんですが、設備投資の問題から、それか らインセンティブの問題に関しては、前回、開原先生がおっしゃったことが全てだと私は 思っております。それを二度言う必要はないと思いますので、もう一つ大きな問題として 挙げられるのが、だれがこれをやるのかという問題です。私の資料の一番初めを見ていた だくと分かるんですが、医療情報委員会と書いてあります。我々のような州病院では、医 療情報部というのは大学さんと違いましてありません。ですから、そういう機能をだれか が担わないといけない。今後これを広げていこうと思いますと、やはり急性期病院とか地 域支援病院に広げていかなければならない。そういう病院には情報部として独立するだけ の能力もお金もないというのが現状ですので、どうかその辺りを委員の皆様方のご努力に よって何とかしていただけると、もっと広がるのではないか。  産官学という言葉がありますが、私はこれは大嫌いな言葉でして、学は結構なんですが、 研究者の方はどんどん研究していただいたら結構です。ただし、病院で働く者として、現 場でどう使うかというところにも目を向けていただかないと、だれにも使えないというこ とがございます。  具体的にどうするかということに関してですが、まず院長先生に訴求していただきたい。 この委員会を通じて、国としてはこう考えているんだというふうに言っていただかないと、 財布のひもを握っている人が開いてくれない限りは、なかなか動きません。  それから、医療安全の効果と医療従事者への効果というのをしっかり理解していただき たい。これは一般の方も含めてです。  それから、ICT、ITと言っていますけれども、これを利用したシステムだけで何か できるほど世の中は甘くなくて、やはりもっと考えないとできないよということも必要だ と思います。  それから、臨床というのは、ベッドサイドというところにおいては、看護師が最も大切 な役割を担っています。あの子たちが喜ぶようなものをつくってあげないと、なかなか業 務には広がっていかないのではないかというふうに思います。  これが私の提言です。  最後に、これはうちで遊んでいるロボット君でございますけれども、ロボットがクリス マスキャロルの中で踊っている図でございます。こういった楽しいこともどんどんやりつ つなんですけれども、皆様のご努力、メーカー様のご努力によって、こういったうちのよ うな一般医療施設でも歯を食いしばって踏ん張ってやれるような場所というのをどんどん 増やしていっていただけるように、皆様のお力をいただければと思います。  ご清聴ありがとうございました。 ○嶋口座長  田中様、どうもありがとうございました。大変興味深いよいお話をいただきました。  コード化というのは、もう少し簡単にというようなニュアンスがあったんですが、今回、 メーカー、卸、それから医療機関、おのおのの現場での先駆的な取組を見ていますと、新 たな課題がたくさん見えてきたような感じもいたします。そういう意味で、これからの議 論をさらに深めていくために、皆様方からいろいろご意見をいただければありがたいと思 います。ご質問を含めてでも結構でございますし、ご意見でも結構でございます。何かご ざいましたら、委員の先生方、どうぞよろしくお願いいたします。  お願いいたします。 ○加藤委員  AMDDの加藤です。発表者の皆さん、どうもすばらしい情報をありがとうございまし た。  先進的な事例ということで聞いていて、非常によかったなと思うのは、1つは全てがで きているわけではないというところ、非常に現実的なところに解があるんだなというとこ ろ、そこら辺が分かったのは非常によかったと思います。  それで、前回の懇談会でのお話ともつながるのですけれども、私はメーカーを代表して いますが、メーカーが一生懸命バーコードを付ける、でもそれでも足りなくて卸さんでも 付ける、それでもさらに足りなくて病院さんでも付けていると。それを追加のコストと見 るか、そこの段階での付加価値と見るかによっても、やっていることへの意識というのは 変わってくると思うんですけれども、非常に極端な見方をしますと、メーカーのほうで一 生懸命バーコードを付けている中で、ある種の折り合いをつけている部分というのは、流 通がとりあえず合理化できるところ、それを最低限のラインみたいなところで考えて付け ていて、その先に、製品によって個装単位まで付けるとか、そういったことをやっている と思うんです。  メーカーのほうでバーコードを付けるに当たって、当時、平成19年にバーコード推進に 関するお話が行政からあったときに行政側にお願いしたことは、これを付けてどこまで安 全性あるいは流通の合理化をするかというビジョンを示していただきたいとお願いしたん ですけれども、前回の開原先生のご発言にもありましたように、行政のほうから病院への 指示とかがないというようなところで、どうしてもメーカーのほうが一生懸命やったけれ ども、下流のお客さんのところでうまくつながらない、それに対して不満があるというこ とです。  それもまたよく分かって、標準化とかシステム化のコストというのは莫大なものですか ら、それをやるとどうしても例外処理はなくしたいと。病院の経営者の立場で言うと、シ ステム化にこれだけ投資するのだから、全てのものが手入力なしでバーコードで入力でき るようになっていないと、何で投資するのかみたいなこともあると思うんです。そこのと ころで多分、ビジョンというのが必要になってきて、安全のためにこれとこれはやります と、経営合理化のためにはこれとこれまでやりますと。例えば安全のためには、ヒヤリハ ット事例の多い医療機器について、個包装まで全てのメーカーがバーコードを付けて、そ れでかなりの病院でそれをデータ化するようにしましょうとか、何かそういうメリハリと いうのがないと、メーカーも非常に多大なコストをかけて、極論すれば、隅から隅までコ ード化しなきゃいけない。それをやっても卸さんも多大なコストをかけて、さらにコード 化して、病院さんもそれにさらにキット化してコードを付けてというところなので、どこ かで現実的なエクスペクテーションというのをつくって、もちろんそれが最終目標ではな くて、進化の過程だと思うのですけれども、今日お話のあった先進事例みたいなものが、 先進事例ではなくいろんなところで同じようにやられているというのが目指されるべきと ころではないかと思うので、医療機器、最初からありますように、すごくたくさんの種類 があって一口では論じられないので、そういったメリハリのある方向性というのが出れば いいなと。以上コメントでございます。ありがとうございます。 ○嶋口座長  どうもありがとうございました。  ビジョンを示すというのは大変重要ですが、そのためにはいくつかの制約条件や現実問 題との整合性も必要になりますね。しかし方向としては、コード化問題は国としても また業界全体としても必要という前提でビジョンを考えるのはいいかも知れませんね。た だ、その推進過程で新たな問題がどんどん出てくるために、現場のいろいろな立場からの 先駆的な取組などを参考にしながら大きなグランドデザインを考えていくべきでしょうね。 貴重なご意見、どうもありがとうございました。  あと何か、ご意見でもご質問でも結構でございますが、お願いいたします。 ○諸平委員  田中先生にちょっとお伺いしたいんですが、一気通貫なんて全くナンセンスだと、こう いうことをおっしゃっておられるわけで、これは我々にとっては本当に目からうろこと申 しますか、そういう部分も正直あります。このことをもう少し具体的にお話をいただきた い。  それからもう1点、先生が言われているものと我々卸で苦しんでいることは全く同じで して、MEDEISのコードを一部使いながら、なおほとんどはメディエで仕事をやって いるという現実ですね。そのほかに自社のコードがあると。また、各病院のコードもあり まして、その辺、卸は全部合わせながら仕事をしているという現実なんですね。その辺に ついてもご意見をいただければ。よろしくお願いします。 ○田中氏  何分、こういう公の場所に出るのは初めてなものですから、何とかインパクトをつけて やろうと思って書いたというところもございますので、余り額面どおりとらないでいただ きたいというのがございますが、私も、一気通貫はうそというのは表現が悪かったかなと 思って、今、反省しております。  私が言いたかったのは、薬剤に関してシリアルまでとらないといけない、だからバーコ ードでは足りないから、RFIDを付けるんだというのは、それはうそでしょうというの がまず1点ございます。  もう一つは、特定医療材料並びに特定生物製剤とか輸血製剤のように、生産がかなり細 かい単位で行われていて、それが患者にそのまま使われるというものに関しては、一気通 貫の意味はあると思っております。  ただし、箱包装であるもの、それからタンク単位でしかやられないものに関してまで、 全部引き当ててやるほどの意義が、トレーサビリティーという言葉がいっぱい出てくるん ですけれども、何をトレースするかということだと思います。何か起こったときに、先ほ ど滅菌の事例で申し上げましたけれども、問題が起こったときに遡及できるかどうかとい うところが大切なのであって、何でもかんでも細かいところまでとらなくていいんじゃな いかということを申し上げたかったということをまず補足しておきたいと思います。  もう一つは、薬剤に関しては一気通貫が必要ないというのは、これは僕の本音です。先 ほど申し上げましたように、やはり医療機関では、例えばボトルの製剤にアンプルのもの を、混ぜ物をして別の液体にするわけです。その行為を行った段階で、ではどのアンプル のバーコードにそのデータを入れるのかということになってしまいます。  これに関しては、もしボトルにRFIDが付くようになってくると、今現状では実証実 験レベルでやっているのは全部リーダーだけなんです。ライターが出てきて、ボトルのバ ーコードにライティングをして、何が入ったかというのを書き込むようなこと。医療現場 にRFIDライターがばっと広がるようになると、それはおもしろいかもしれませんけれ ども、それでも別に、先ほど言いましたように、どのルートから行きましたか、どの時間 ですか、どの患者さんにですかということを表現するには、RFIDだけで足りるか足り ないかは分かりませんし、先ほど話が出ていますように、それこそシステムに入れるお金 が膨大になりますから、現状、薬剤の関係で努力していただいている方々、医療材料の関 係で努力していただいている方々のご努力で、私がお見せしたようなことはできるという ことが、まず申し上げたかったところでございます。  先ほど話がありましたけれども、最初に栗原の方からお話がありましたが、JANしか ないもの、GS1もあるもの、保険償還も付いているものというふうに分かれています。 あれは恐らく、メーカーさんもディーラーさんも現実的なところで折り合いをつけて、こ れはJANでいいんじゃないのみたいなことで決まっているんだと思うんです。  それはほぼ医療機関の中でも同一になっているので、先ほど、うちは自分でGS1のコ ードを振り出すと申し上げましたけれども、例えば有効期限を明記していない商品という のはやっぱりございます。それはどうしているかというと、9999年99月99日という使用期 限を印刷してGS1を振っているわけです。つまりJANとしてしか利用していないとい うこともございます。それが医療現場において特に必要のないものなのであれば、どこか で折り合いをつけることで、今のコーディングの方式を最大限利用できるということは間 違いないと思いますので、僕としては、今、世にあるものでできる限りの努力をして、先 ほど座長がおっしゃいましたように、折り合いをつける努力を現場を見ながらしていくと いうのが一番大切なんじゃないかというところです。  決して一気通貫が絶対要らないというわけではなくて、物によるんじゃないですかとい うことを申し上げたかったということです。 ○嶋口座長  よろしいでしょうか。 ○諸平委員  はい。 ○嶋口座長  ありがとうございました。  あと何かございますか。お願いします。 ○杉山委員  欧州ビジネス協会の杉山と申します。  田中先生にお伺いしたいんですが、別件でも一つの課題になっています貸与品というの がございます。私どもは機器のメーカーでございますけれども、今、プレゼンをお聞きし た中で、病院がご購入された機械というのは私も非常によくイメージできるんですが、公 正取引規約で定められている、例えば最大6カ月間、ご評価いただくために貸し出す機器、 これの安全使用の担保の責任が不明確な部分もあり、こういう病院のシステムの中で、特 に貸与品に対してはこういう対応をすべきであるという病院の考え方がありましたら、も しくはどのようにそのシステムに乗せていくかということがありましたら、お話を伺わせ ていただきたいと思います。 ○田中氏  その問題は非常に大きな問題でして、我々が今、これはまだトライアルレベルなので、 余り偉そうには言えないんですが、実は治験審査委員会、倫理委員会と組みまして、倫理 委員会に通った材料に関しては、先ほど、院内でピンクのバーコードを出していましたけ れども、特別のバーコードを振り出すようにしています。そういうことでもしないと、僕 はトライアルとか治験は、本音では余り賛成できない部分があるんですけれども、医療の 進歩のためにはやっぱり必要であることは事実だと思いますので、できるだけ違う形のデ ータベースに置く。ただし、スキームはGS1も普通に使うし、そのまま使っているコー ドはそのまま使うんですが、例えば現場に色が違うことで分からせて、違うところに掘り 込むと。フラッグだけ立てておくというような取組を今始めております。  もう一つは、預託などのものに関しては、先ほど来の話のとおりで非常に難しい。うち も高額なもので、特に心臓カテーテル系のものは預託が現在もございます。ここは、先ほ どはお話ししませんでしたけれども、責任の分解点というのを病院、メーカー、ディーラ ーの中でどこに置くかという議論をうまくやらないといけないと思っております。  預託品に関しては、ディーラーさん、メーカーさんに責任をある程度持っていただく。 病院では管理に限界があるからという形に持っていかないと、今の段階ではつらいんじゃ ないか。  あともう一つ大きな問題がインプラントでございます。手術材料の中でも、そのまま入 ってきて使えなくて、いったん滅菌してから使うというものに対して、どこまで高品管理 をやっていくかという問題もございまして、今日はいい格好したかったので、余り困った ことは紹介しなかったんですが、おっしゃるとおりで、治験関係、預託関係、インプラン ト関係、インプラントと言っても、ステントは大丈夫なんですが、整形系は悩みの種です。 それに関しては、公取委の通達に関してもここで議論されるということなので、ぜひセッ トで何かガイドラインを出していただくと、医療機関としては非常に助かります。 ○嶋口座長  他のご意見はございますでしょうか。よろしいですか。  三村先生、何かございますか。特によろしいですか。 ○三村委員  はい。 ○嶋口座長  これは座長の立場を少し離れて少し勝手なことを言わせていただいくと、今まではバー コードの問題にしても全て、いわゆる川上と言われるメーカーが起点になって設定し、そ れから卸、医療機関というふうに流れてきた。したがって、サプライヤー基点から連続す るサプライチェーンをどうするかという発想でしたが、その流れの中でいろいろパッチワ ークをしていくと、どうも取引慣行上好ましくないものが出てくるとか、川下のユーザー ニーズに合わない部分が出る、そういうふうになっているようですが、時代の流れとして は、そろそろサプライチェーン型の、つまり、川上からだんだんコード化していくよりも、 むしろユーザーサイドのほうからコード化を考えるというデマンドチェーン型のシステム としてみていくという視点もありそうですね。その中で新しいバーコードの在り方とか、 取引慣行の在り方などをそろそろ考えていく時期に来ているのかなという印象もあります。  今日の田中さんのお話は、なかなかインパクトがあったと思うんですが、やっぱり現場 のところを見ると、そこに合わせて使えるコード化が重要で、それが卸の立場、メーカー の立場へと逆連鎖して行く形もありうると感じました。  今回は、メーカー、卸、それから医療機関における先駆的な取組を示していただきまし た。本懇談会は、今の段階では知識を吸収するセッションになっておりますが、本日は非 常によい刺激を受けたと思っております。本当にお三方のエキスパートの皆様、ありがと うございました。  さて、ここでテーマが少し変わりますが、実は前々回の第3回懇談会のときに話題に上 がりましたテーマで、医療機器におる保守管理の現状について意見を聞きたいという提案 がありましたので、今回は、日本画像医療システム工業会の南委員のほうから、パンフレ ットと資料5に基づきまして、医療機器における保守管理の現状について、お話をいただ きます。南委員、よろしくお願いいたします。 ○南委員  社団法人日本医療システム工業会、南です。  保守点検、メンテナンス等につきまして、ご要望がございましたので、本日、資料4と 資料5につきまして、一般的な話になるかと思いますけれども、説明を申し上げたいと思 います。  まず、お話の前に、保守点検・メンテナンスの定義ということでございますけれども、 一般的に言われております保守点検は、予防保全と呼ばれているものでございます。これ は日常点検と定期点検に分類されております。日常点検というものは、機器使用前に当該 医療機器の関係者が実施する始業点検と呼ばれるものを言いまして、定期点検は一定の期 間ごとに行われる機器の点検を指しております。  医療機関で使用されております医療機器の管理責任というものにつきましては、医療機 関にございますので、点検は医療機関自らかが実施する作業というふうになります。定期 点検につきましては、業者に委託されるケースが多く見られております。  この定期点検が保守点検または保守と、そのように言われているものでございまして、 本日は、以下、保守点検というふうにお話をさせていただきたいと存じております。  まず、保守点検に関しまして、法的にはどのようなものであるかといいますと、医療機 器の安全点検及び安全性確保に関しまして、平成19年4月1日に厚生労働省が施行いたし ました改正医療法の中で、4点が医療機関の義務として明文化されております。  その3番目に、医療機器の保守点検に関する計画の策定及び保守点検の適切な実施とい う項目がございます。医療機器の安全点検及び安全性確保に関して点検作業を実施するわ けでございますけれども、業者の行う保守点検では、医療機器の安全性の確保、性能の維 持、また信頼性の維持を目的としており、故障などの異常が起きる確率を減少させ、異常 事態の早期把握、微細な故障の発見などによりまして、当該医療機器の正常状態が維持さ れる確率を高める、そのようなことを目的にしまして、計画的に一定期間ごとに磨耗や劣 化の点検、可動部分の調整と確認、定期交換部品などの交換等を行っております。  保守の現状につきまして、お手元の資料4ですけれども、社団法人日本画像医療システ ム工業会、JIRAと言いますけれども、実施いたしました第7回画像医療システム等の 導入状況と安全確保状況に関する調査報告書から、一部になりますけれどもご紹介を申し 上げたいと存じます。  「はじめに」という書き出しで書いておりますけれども、この調査は平成20年11月から 12月にかけて実施いたしております。第7回画像医療システム等の導入状況と安全確保状 況に関する調査、その結果の中から安全性確保に関する項目をピックアップしたものでご ざいます。先ほどの厚生労働省が施行しました改正医療法を念頭に置きまして、保守、安 全管理の調査項目を過去の調査と比較して充実させたものの概要、紹介となっております。  この2ページでございますが、全国の医療施設を99床以下、それから100から299床、300 から499床、500床以上の4つの病床群別に分類いたしております。その中から無作為に抽 出いたしました1,000病院の技師長様あてにアンケートをさせていただいた結果をまとめて いるわけでございます。  調査結果の内容でございますが、5ページの、まず平均買い替え年数のところを見てい ただきたいのですが、ここに7機種の平均買い替え年数をご報告しております。買い替え 年数ということは、言い方を変えれば、医療機関における当該機器の使用期間であると、 そのように言えると考えております。  例えば、X線CT装置の買い替え年数は、今回の調査では、この表でいきますと右端で すが、10.3年となっております。1988年の第1回の調査より、20年間で、買い替え期間、 使用期間が1.9年長くなったことがお分かりになるかと存じます。  同じように、血管撮影用X線装置は、2008年の調査では11.3年の買い替え期間、使用期 間となっておりまして、MRI装置では2008年の調査では、1988年調査と比較いたします と4.3年長くなりまして、10.9年というふうになっております。  超音波措置につきましては、1988年の調査に情報がございませんので、1993年度の調査 と比較しますと、7.5年から3.1年長くなり10.6年の買い替え期間であるというふうになっ ております。  ここに出しておりますこれら7機種の平均で見ますと、11.2年の買い替え期間となって おります。すなわち、11.2年使われているということでございます。  この使用期間が長ければ長いほど、医療機関におきまして安心して検査、治療が実施さ れるためには、これら長期間使用の装置ほど、当該装置の性能や安全性を確保するために、 日常の安全点検と定期的な保守管理の重要度が増大するということをご理解いただけると 存じております。  この使用期間の安全の確保については、平成7年の改正薬事法で、安全点検に関する事 項が医療機器の添付文書に記載することが義務となり、平成8年の医療法施行規則の改正 により、安全点検の実施主体が医療機関にあることが明確にされました。平成19年の改正 医療法により、医療機関に医療機器安全管理責任者の設置及び保守点検計画の策定と適切 な実施が義務化され、保守点検の実施が明文化されました。医療機関において点検するこ とが困難な医療機器内部の保守点検については、薬事法で定められた修理業などの有資格 者に委託できるように法的環境が整備されております。  実際の保守点検についてですけれども、6ページの保守点検実施率について説明を申し 上げますと、まず、保守点検実施率としてパーセントで表示している数値は、保守契約、 都度メーカーを呼んで点検、院内点検の回答数、何らかの形で点検を実施しているとの回 答数でございます。この合計を当該質問についての総回答数で除した数値であらわしてお ります。  例えば、X線CT装置の2008年調査結果では、回答数中94.9%が保守点検を実施してい ると、そのようになっております。血管撮影用X線装置については90.3%、MRI装置に ついては95.3%、核医学装置では85.8%、超音波装置39%、CR画像処理装置74%と、そ れぞれの調査結果がございます。  ここに挙げました代表的な医療機器の保守点検実施率の平均は79.9%で、2007年の調査 と比較しますとやや減少した結果ともなっております。  この資料の7ページと8ページでは、病床別保守実施状況としまして、安全の観点から 具体的な機器の保守状況を病床別にお出ししております。  同様に、9ページ、10ページですけれども、やはり安全の観点から、病院機能別保守実 施状況として調査の結果をお出ししております。  12ページでは、医療機器保守点検計画の策定状況について、アンケート結果をお出しし ております。  今、お手元の資料は抜粋でございますので、例えばX線CT装置については記載がござ いませんが、口頭になりますが説明しますと、X線CT装置についての保守の実施状況は、 「メーカーと保守契約を締結している」が88.7%でございました。未実施と無回答が合わ せて5.2%という調査結果でございました。保守契約を交わさない理由といたしましては、 「経費が高い」が45.5%、無回答が45.5%というふうになっております。  今、口頭で言っておりますのは、お手元の小冊子の中には入っておりません。これは2 センチぐらいの厚さの本になってJIRAで出しておりまして、必要な方はJIRAの事 務局に言っていただくと、お手元に届けるようにお話をしてございます。口頭で説明して おります。  保守の満足度につきましては、「満足している」と「ほぼ満足している」という回答が 78.9%、これもX線CT装置についてでございます。具体的には「満足」が21.5%、「ほ ぼ満足」が57.4%でございました。「不満」が8.7%、無回答が12.3%でありました。  要望という項目で、回答のあった多いほうからどういう要望があったかといいますと、 「部品代が高い」22.8%ございました。「修理代が高い」21.3%、「修理時のラインが遅 い」11.5%、「修理時間の短縮」、長いということが10.8%、それから「消耗品の供給に ついて」7.2%などとなっております。  今、口頭でちょっと言いましたのは、安全の観点からまとめた資料とは若干違っている ように聞こえるかもしれませんが、これはX線CT装置について口頭で申し上げました。  続きまして資料5になりますが、JIRAでは、保守・メンテナンスが必要な理由、回 数の根拠、メリット等について、ここにお出ししましたように考えておりますということ でございます。  保守点検の定義につきましては、既に最初にお話を申し上げましたので、2番、回数の 根拠についてですが、メーカーがそれぞれ保有している機種ごとのデータ等に基づいて回 数を割り出しておりますので、工業会では関与できない事項となっておりますということ を出しております。  3番の運用についてですが、実務について、保守点検は当該機器の添付文書に記載の 「保守・点検に関わる事項」の使用者による保守点検を実施することと、「業者による保 守点検事項」に書かれている概要に、取扱説明書に記載の点検項目やそれぞれの医療機関 ごとの特性を併せ考慮していただき、医療機器安全管理者が保守点検計画の策定を行うこ とが必要であると、そのようにいたしております。  メリットにつきましては、安全稼働と機器のダウンタイムの減少、患者に対する安全確 保、高品質の診断用画像の作成などがあると言えます。これらは医療機関の信頼性の向上 につながるものであると言えると存じております。  ここまで申し上げてきましたが、第3回のときのご質問に対して、ちょっと違うんじゃ ないかと先生方は思われるかもしれませんが、ぜひともご理解をちょうだいしたいことが ございます。  それは、独占禁止法上の問題がございまして、先生方からのご要望としまして、医療機 器の修理等に関しまして、まず作業内容、所要時間、所要工数などの算出根拠が不明確で あると。これは懇談会でもお話が出たのではないかと思います。そのようなご意見がござ います。それから、有資格技師者の作業単価、その他の人件費の作業単価が不明確である。 交通費、諸経費等の算出基準が不明確である。このようなご意見をちょうだいすることが あるわけでございます。  「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」というのがございまして、それの第 2の10におきまして、これは公正取引委員会の平成7年10月30日の文書ですが、原則とし て違反にならない行為、その例としまして、原価計算や積算について、標準的な項目を掲 げた一般的な方法を作成し、これに基づいて原価計算や積算の方法に関する一般的な指導 または教育を行うことが挙げられております。これが原則として違反にならないとされて いるわけでございまして、いただきましたご要望等について、事業者団体で標準的な料金 などの検討に関することを実施するとか、そのようなことをカルテル等としまして、独占 禁止法に抵触のおそれがございます。ということで、JIRAは、加盟しております傘下 の各事業者において、これらについて判断することを求めております。  したがいまして、先生方におかれましては、保守点検の契約先の事業者にぜひともお問 い合わせをいただきたいと、そのように考えております。  以上でございますが、一般的な説明とさせていただきたいと思います。 ○嶋口座長  どうもありがとうございました。  今、南委員から医療機器における保守管理の現状と、前々回に受けた質問に対する回答 に近いお話をいただいたわけでございます。何か質問がございますでしょうか。  お願いいたします。 ○ア原委員  今のご説明、分かりましたけれども、病院で一番問題にしているのが最後に言われたコ ストの分析なんですね。これを事業者と病院だけでご検討くださいというようなことでし ょうか。それが1点。  それからもう1点、部品を生産する期間というんでしょうか。だんだん古くなってまい りまして、替えようとすると部品がもう生産されていないというようなことを言われるこ とがあるんですけれども、部品は何年ぐらい確保されるかという、そういう点があったら 教えていただきたいと思います。 ○南委員  部品の保管期間というのは、メーカーに対して法的に決まっておりますので、先生のと ころに部品がないと言われる事業者がいるとすると、ちょっと理解ができないんですけれ ども。 ○ア原委員  法的に決まっている部品の期間を教えていただきたいんですけれども。 ○南委員  製造を中止してから、例えば10年間はメーカーで保管しておきなさいとか、そういった 法的に定まっておりますので、その製造が終わってからもう既に20年、30年使われている という場合はあるのかもしれませんけれども、一般的な話になって大変申しわけないです が、あるはずなんですが。  あともう一つ、最初に先生が言われましたように、これは事業者団体として、価格がこ うですよ、費用がこうですよということを行うと、カルテルになる可能性があるのででき ないですという説明をさせていただいたわけでございまして、各メーカーは、根拠、企業 秘密としまして、故障率だとか自社の部品のいろんな個別の資料を持っておりまして、事 業者団体としてはそれを開示しなさいということもちょっと言えないことでございますの で、やはりこれは契約の当事者がやっていただけるのが一番早いのではないかと、そのよ うに存じております。 ○嶋口座長  今日、委員でせっかく米国と欧州の代表の加藤委員と杉山委員がいらっしゃるので、一 言、今の日本における保守管理の現状と対比して、米国あるいは欧州はこんなふうな違い がある、もしそういう意見がございましたら一言お願いしたいと思います。 ○加藤委員  それでは、AMDDの加藤でございますが、JIRAさんの資料を事前に拝見させてい ただきまして、米国と特徴的に違うところがあるかというディスカッションをしたのです けれども、1つは、買い替え年数が延びてきているというお話がありました。これはアメ リカではもう少し短いという印象がございます。というのは、メディケアにしろプライベ ートな保険にしろ、医療機関として最新の機器を導入していないと、例えば契約が難しく なるとか、そういうインセンティブが働くらしくて、買い替え期間というのはもう少し短 いのかなと。  それから、同様に保守実施状況、大型機器は非常に高かったと思います。それ以外は実 施率が半分程度のものがあったという調査結果だったと思いますけれども、米国では、大 型機器以外でも実施率というのは結構高いのではないか。加えて、メーカーが自ら保守点 検を実施している率も高いというふうに聞き及んでおります。これは、アメリカの病院評 価機構がその病院を評価する際の項目に機器のメンテナンス状況が入っていて、病院はメ ーカーから確かにメンテナンスしましたという証明書を受け取って、それを評価機構に示 すらしいんですね。そういうようなことがありまして、支払い側とか評価機構からインセ ンティブというか圧力というか、かかっていますので、この2つの項目については日本と はちょっと違うのかなという感じでございます。  以上です。 ○嶋口座長  ありがとうございました。  杉山さん、いかがでしょうか。 ○杉山委員  保守点検なんですが、欧州の現状ですと、欧州はかなりセンター化が進んでおりまして、 心臓血管外科ですとかなり病院数が少ないんですね。例えば大型機器についても、1病院 当たり設置されている台数が非常に多うございます。それがゆえに、例えば新製品が出た ときに、人工心肺装置ですと古いものと新しいものが混在すると、操作方法が違いますの で安全性が損なわれるという懸念がございまして、一気に買い替えてしまうということが ございます。ですから、それこそ人工心肺装置ですと、米国に比べて20数台を一度に替え てしまうというようなことがございます。  そういうこともありますので、先ほど加藤委員がおっしゃったように、まず買い替えの 年数がちょっと短いということが1点と、その買い替えのときにかなり台数をやりますの で、一括の契約で保守点検も含めた売買契約が成立するということが多いというふうに聞 いております。  その辺でちょっと日本と実情が違いますので、それを考えますと、日本には日本の実情 に合わせた保守点検の在り方というのを新たに構築していく必要があるのかなということ は考えております。そのための努力はメーカーとしても続けていきたいというふうに思っ ております。 ○嶋口座長  どうもありがとうございました。  それでは、そろそろ予定の時間が迫ってまいりましたので、本日はこのくらいにしたい と思います。本日の議題の中心はコード化の問題ですが、たまたまご質問で保守管理の問 題も出たものですから、それに対する調査結果のご説明と、それからそれに対する関連的 なご回答をいただいたわけでございます。  それでは、今後の予定を含めまして、事務局サイドから一言お願いしたいと思います。 ○安東流通指導官  それでは、事務局から申し上げます。  次回は、コード化について、海外事例の紹介を中心に行いたいと考えております。また、 改めて日程調整をいたしまして、9月ごろに開催する予定でおりますので、よろしくお願 いいたします。  以上でございます。 ○嶋口座長  それでは、時間もまいったようでございますので、今日の議題はすべて終わりでござい ます。本日はどうもありがとうございました。 (了) −36−